さすが加賀恭一郎。
     この東野小説にて唯一の常連刑事と言ってもいい人物は、今回も完璧に出来上がっているんだ。鋭い洞察力と推理力は相変わらずだが、今回はまた彼の内面的なもの、つまり人間性について細かく描かれている。しかも、これまでの作品に言及されていない親子関係も「赤い指」に描写されていて、加賀ファンにとってはメリットがあるのではないだろうか。 
     この小説を読んでいるうちに、いっぱい異なる気持ちが湧いてくる。例えば怒り-あの馬鹿息子を描写する場面はすべて腹立つ。これは勿論あの愚痴な母が作ったものです。自業自得だ。家庭問題や姑嫁問題に直面しない父にも重い責任がある。そして、日本社会全体の問題でもある。感動-言うまでもなく、前原政恵が夫、息子、家庭に注ぐ愛情を思うと、涙を流すほかならない。僕はこういう描写に弱いかな!?小説の後半に殆ど一言も喋っていない前原政恵は実に存在感が圧倒的に大い。ボケていないのにいつもボケている振りをして、亡き夫に対する思いや息子に対する心配や嫁に対する不満などなどの気持ちは、きっと彼女の心に満ちている。でも、彼女の頭は良すぎるのではないでしょうか。そして忍耐力も強すぎると思う。 
   東野はトリックの魔術者だ。読んでいるうちに、「一体真相はなんでしょうか」という問いはいつも自分の中にある。そして、東野の何十作を読んだ経験によって自分なりの答えを導いた。例えば真犯人は実に八重子だとかなどの面白くない発想。結局、東野が与えてくれた答えはいかにも想像外だ。脱帽するしかない。彼の小説は単なるミステリーではない。ジャンルを超えていて、いろんな議題、特に人間性についての描写は作品に入れたい企ては明白である。
  しかし、東野の小説は全く欠点がないとは言えない。僕は特に気になる問題は
言葉選びの問題だ。簡単に言うと、言葉が少ない。こういう場面を描写するには必ずこういう言葉が出てくるだろうと容易に予想できる。だが、このような欠点こそ、外国人である僕にとっては読みやすいのではないだろうか。

arrow
arrow
    全站熱搜

    leepoli 發表在 痞客邦 留言(1) 人氣()